セガ・アーケードゲームヒストリー

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第4回セガ・ゲームミュージックの
革新性

2016年12月28日掲載

むかしから音楽が大好きでして、初めて自分のおこづかいで買ったレコードは、イギリスのエレクトロミュージックグループ、"アート・オブ・ノイズ"の『Who's Afraid of the Art of Noise?(誰がアート・オブ・ノイズを)』(1984年)でした。

このアルバム、当時としては最先端だったサンプリング技術を駆使してまして、金属を叩く音やバイクのエンジン音など、身の回りのさまざまなノイズを実験的にコラージュして作られた、まさに革命的な作品なんですよ。

たまたまラジオから流れてきた、彼らの『Close (To The Edit)』という曲を聴き衝撃を受け、すぐさまレコード屋に走って、このアルバムを買った憶えがあります。

(あ、余談ですけど、Mr.マリック氏のテーマ曲となっている、「♪デデ、デデ、デデ、デデン」という曲は、アート・オブ・ノイズの『Legs』(1985年)という曲なので、“ハンドパワー”を使いたい人は、ぜひチェックを)。

で、そんな『Who's Afraid of the Art of Noise?(誰がアート・オブ・ノイズを)』と同じ年に発売され、当時、中学生だったボクにさらなる衝撃を与えたのが、日本初のゲームミュージックアルバム、『ビデオ・ゲーム・ミュージック』(1984年)ですよ。

YMOの細野晴臣氏プロデュースにより、『ゼビウス』、『パックマン』、『ギャラガ』など、ナムコ(現・バンダイナムコエンターテインメント)黄金期のゲームミュージックが大胆にサンプリングされたその内容は、ゲームはもちろん音楽も好きだったボクにとっては本当にインパクトのあるアルバムでした。

ここからゲームミュージックの魅力にもハマっていくのですが、当時のゲームミュージックで、とくに異色を放っていたメーカーといえば、なんといっても我らが“セガ先輩”(敬意を表してこう呼ぶ)ですよ!

とくに、『ハングオン』(1985年)『スペースハリアー』(1985年)『アウトラン』(1986年)など、数々の体感ゲームの音楽を担当したセガ・インタラクティブ所属の作曲家、川口博史(Hiro師匠)氏の存在が非常に大きかったと思うんです。

▲『ハングオン』筐体(1985年)

spaceharrier

▲『スペースハリアー』
筐体(1985年)

▲『アウトラン』筐体
(1986年)

PCM(サンプリング)音源を活かして、それまでのゲームミュージックにはあまり見られなかった、フュージョンやラテンといったバンド風の楽曲をモチーフにし、「ゲーム音楽=ピコピコ調」ではない新しいゲームミュージックの在り方を提示したのが革新的でした。

なかでも『アウトラン』は、カーラジオを模した画面からプレイヤーが曲を選択する仕掛けが盛り込まれており、ゲームミュージックがゲーム演出のひとつとして活用されていたのも衝撃。

ゲームミュージックを本物のバンドサウンドに近づけようとした川口氏の功績は大きく、ボクが好きなゲームミュージック作曲家のひとりでもあります。

そんな川口氏が、当時の楽曲制作についての貴重な話を語っている映像がこちら。ゲームミュージックのドキュメンタリーシリーズDiggin' in the Carts(ディギンインザカーツ)』(2014年公開)です。

この動画は、8ビット・16ビットゲームの時代を中心に、当時のゲームミュージックが世界の音楽シーンにどれだけの影響を与えたかを、日本のゲームミュージックコンポーザーおよび、世界中の音楽プロデューサーやアーティストたちのインタビューを絡めながら紹介する、全6回の映像シリーズでして、微力ながらボクも制作のお手伝いをさせていただきました。

この映像を見てもらえばわかると思うんですが、世界中の著名な音楽アーティストたちが、セガの(そして日本の)ゲームミュージックにどれほど影響されたのかを大いに語っています。

それほどまでに、当時のセガのゲームミュージックは、新しくてクールで、影響力が大きかったんですよね。この動画でも語られていますが、まさに「ビデオゲームが生み出した日本のゲームミュージックは、世界に誇れる文化のひとつ」だと思います。

なお、セガのゲームミュージックの魅力が海外で認められている、ひとつの証として、なんと今年『アウトラン』30周年を記念し、イギリスのData Discsレーベルから『アウトラン』のアナログレコードがリリースされたんですよ。やばくないですか?この時代にあえてのアナログレコード化ですよ。

しかも180グラムの重量盤でして、カラーリングもカラフルな3タイプ。なお、音源はアーケード版の4曲に加えて、メガドライブ版(1994年)とニンテンドー3DS版(2014年)の楽曲がボーナストラックとして追加され、新たにリマスタリングが施されているとのこと。

記念盤としてはもちろんですが、DJにも重宝されそうな1枚ですよね。いまだに、このように時代を超えて愛され続けているセガのゲームミュージックってかっこいいなあ、と思うわけです。

というわけで、最後にボクの好きな('80年代の)セガのゲームミュージックベスト3を挙げて、無理やり締めたいと思いまっす。

それでは、また来月の当コラムでお会いしましょう!

ローリング内沢が好きな('80年代の)セガのゲームミュージックベスト3
1『アウトラン』(1986年)
あえて1曲選ぶなら『SPLASH WAVE』かなあ。
2『スペースハリアー』(1985年)
『MAIN THEME』はもちろんですが、ドラムンベース風の『IDA』もかっこいい。
3『カルテット』(1986年)
ステージが始まるまえに流れるインパクトのあるサンバ調の楽曲が好き。

ローリング内沢

1970年、東京生まれ。ライター、編集者、ゲーム批評家。
ゲーム情報誌の編集者を経て、2000年4月よりフリーランスとして活動。
得意分野はゲーム、クラブミュージック、グラフィックデザインなど。
趣味が高じて、クラブDJとしても暗躍中。
イラスト:荒井清和

参考資料:セガ・アーケード・ヒストリー(エンターブレイン刊)

<span>第7回</span>セガ・体感ゲームクロスレビュー