- ゲームクリエイターを目指したキッカケはなんだったのでしょうか?

小さいころから憧れていたんです。小学生の卒業文集に、「ゲームクリエイターになりたい」とか書いていましたし。ただ、きっかけは憶えていないですね。子供って、みんな気づいたらゲームに触れていると思うので。

- 子供のころからの夢だったんですね。

昔から何かしら作るのが好きで。子供ですから別にスゴいものを作れるわけじゃなく、すごろくみたいなボードゲームとか、ゲームブックとか他愛のないものなんですけど。ファミコン(ファミリーコンピュータ)のゲームをどうやったらボードゲームで再現できるかとかにハマっている変な子供でした。例えば、サイコロと紙だけで遊べる『スーパーマリオブラザーズ』とか作っていました。

- ボードゲームで『スーパーマリオブラザーズ』ですか?

そうです。サイコロを振ってステージを進んでいって、あるコマで6が出たらハテナブロックが開くとか、クリボーのコマだと奇数が出たら踏みつけられて、ファイヤーマリオだったらそもそも振らなくていいとか。

- 面白すぎますっ!

ちなみに、ボードゲーム原理主義のマニアックな子供だったとかではないです。ファミコンは持っていたのですが、『スーパーマリオブラザーズ』は買ってもらえなくて。だから必死に、同じ楽しさを紙とサイコロで味わおうと、本気で頑張ってたんです(笑)。

松永 純

- ちなみに、どんなソフトで遊んでいたんですか?

最初に購入したのは『ロードランナー』でした。当時の例にもれず、エディットモードにハマってましたね。

-そこでも「作る」ことを楽しんでいたんですね。

作るという話だと、ノートにベーシックのプログラムを書くこともしていましたね。パソコンを買ってもらえなかったので。「こういうプログラムなら、きっとこう動くんじゃないかな」と想像しながら。

- パソコンは持っていないのに、言語には触れていたんですか?

とにかくパソコンへの憧れが強くて。今から考えても、たぶん動くようなものではなかったですけど(笑)。

- 松永さんの脳内では動いていたと?

ええ、脳内では動いていました(笑)。だから想像力は育まれたかもしれません。それがきっと、ゲームプログラマーではなくゲームプランナーになった分かれ目だと思います。だって同期と子供の頃の話をしたら、プログラマーはみんなパソコンを買ってもらえていたので(笑)。

- 当時は、どういう衝動でゲームを作っていたんですか?

マリオの話もそうですけど、「自分もそれを味わいたい!」という衝動ですかね。『ドラえもん』がすごく好きだったんですけど、どこでもドアみたいな非現実な話にまじって、たまに出てくるんです。池に橋をかけてカーレースするとか、街ひとつ使って空気銃でサバゲーするとか。すごく楽しそうで、「ひょっとして真似できるんじゃないかな?」と思ってしまうエピソードが。そうすると、チャレンジしたくなっちゃうんです。実際に、街ひとつ使ってのサバゲーとかは友達とやりました。エアガンだと怒られるので、雪玉で。雪が積もっていると、2階から飛び降りたりできるので熱かったですね。

- 「いいな」でとどまらず、「やってみよう」と実際に行動するタイプだったんですね。

思い返すと、「これで遊びたい!」という思いが強かったのかもしれません。その延長線上として、卒業文集にゲームクリエイターになりたいと書いたのだと思います。

漫画賞とかドラフトとか獲らなくても
トライできる仕事なんだと知った。

- 小学生時代以降も、ゲームクリエイターになりたいと思い続けていたんですか?

いや、全然そんなことはなかったですね。いわゆる子供の夢だったという感じで。高校生くらいにはもう、志望は公務員になっていました(笑)。ただ、ゲームが好き、自分でゲームを作りたいという気持ちは続いていて、テーブルトークRPGやカードゲームを作って友人と遊んだりしていました。でも根っこがあくまで「作って遊びたい」だったので、プロになることは考えていませんでした。

- クリエイターになりたいよりも、「自分で楽しみたい!」の延長線上だったと?

そうですね。あとそもそも、ゲームを作る仕事というものが、よくわかっていなかったからでもあると思います。その当時は、まだまだゲームクリエイターという仕事は明確なものじゃありませんでしたから。「こういう仕事です」と、メディアで紹介されているわけでもなかったので。当時の僕が知っているゲームクリエイターといえば、鈴木裕さんや宮本茂さんといったレベルの人までで。イメージとして、有名な漫画家とかスポーツ選手みたいなもので、普通の人がなれるものじゃないと思ってました。なので、ゲームを作ることを少し得意に感じていましたが、現実的な職業として見たことはなかったです。

- それが何をキッカケに、プロになる方向へ進むことになったんですか?

本当に、就職活動の最中ですね。当時は、公務員試験の勉強をしていて。そしたらある日、一緒にゲームを楽しむ友人に「ゲーム会社を受けてみたら?」と言われたんです。「せっかくずっと作っているんだから、トライしてみれば?」と。で、その時に初めて現実として意識できたんです。ああ、普通に就職活動としてチャレンジしてみてもいい職業なんだと。漫画賞とかドラフトとか獲らなくてもトライできるんだと(笑)。ゲームクリエイターの仕事はよくわからないままでしたけど、一番好きなゲーム作りが仕事にできるなら、それは僕にとって一番幸せなことだなと、ようやく思ったんです。