セガ・アーケードゲームヒストリー

2017.09.08 コラムを更新!好評連載中!

第7回
カードゲームとネットワークゲーム(2002年~2009年)

2017年04月20日掲載

ゲーム業界の歴史を振り返るコラム。各時代のムーブメント(時代背景やおもな出来事など)を解説しつつ、年代ごとにカルチャーとしてのゲーム(おもにセガ・インタラクティブのアーケードゲーム)の立ち位置や魅力を語っていく。

2001年1月、セガは"ドリームキャスト"を含む家庭用ゲーム機の製造およびプラットフォームからの撤退を表明した。1983年にリリースされたセガ初となる家庭用ゲーム機"SG-1000" から数えること18年……。黎明期から長らくゲーム業界を支えてきたセガの"家庭用ゲームハード事業からの撤退"は、業界内外に大きな衝撃を与えた。

 一方のアーケードゲーム事業はというと、『バーチャファイター4』(2001年)『ダービーオーナーズクラブ2』(2001年)『電脳戦機バーチャロン フォース』(2001年)といった人気シリーズの最新作をリリース。その勢いは衰え知らずだった。

バーチャファイター4

▲『バーチャファイター4』
ブローシャ(2001年)

ダービーオーナーズクラブ2

▲『ダービーオーナーズクラブ2』
ブローシャ(2001年)

電脳戦機バーチャロン フォース

▲『電脳戦機バーチャロン
フォース』
ブローシャ(2001年)

 そして翌年には、トレーディングカードを使用してプレイする初のアーケードゲーム、『ワールド クラブ チャンピオン フットボール SERIE A 2001-2002』(2002年、以下『WCCF』)を稼働。この作品のヒットがきっかけとなり、ゲームセンターでは"トレーディングカード・アーケードゲーム"ブームが訪れることになる。

 『WCCF』は、最初にスターターパックと呼ばれるトレーディングカードセットを購入する。実際のサッカーと同様に11人分の選手カード(控えを合わせて16人分)のデッキを組みチームを作成。それをサッカーのフィールドを模した筐体に配置し、試合展開に合わせて選手カードを移動させながら遊ぶというシステムだ。

 カードの移動が、戦術やポジショニングに繋がるという、従来のトレーディングカードゲームでは実現できなかったアーケードゲームならでは斬新なシステムに注目が集まった。

 また、プレイのたびに1枚ずつ新しい選手カードが入手できることから、カードの収集&交換を楽しむプレイヤーも増え、新規ユーザー層の獲得にも繋がった。

ワールド クラブ チャンピオン フットボール

▲『ワールド クラブ チャンピオン フットボール
SERIE A 2001-2002』(2002年)

 さらに、2003年には、初のキッズ向けトレーディングカードゲーム、『甲虫王者ムシキング』(2003年)をリリース。ゲームセンターのみならず、全国各地のショッピングセンターやコンビニエンスストア等にも設置された。

 これが幼稚園から小学校低学年の男児を中心に大ヒットし、社会現象を起こすほどのムーブメントとなる。マンガ化はもちろん、テレビアニメ化、映画化、グッズ化など、さまざまなマルチメディア展開も相まって、カードの累計出荷枚数は4億9800万枚(2007年11月時点)、公式大会開催数は10万大会(2008年にギネス世界記録に認定)と輝かしい記録を残す(なお余談だが、シリーズ続編として、現在は『新甲虫王者ムシキング』(2015年)が稼働中)。

 翌年には、女児向けのトレーディングカードゲーム、『オシャレ魔女 ラブandベリー』(2004年)がリリースされ、こちらもカードの累計出荷枚数が2億7300万枚(2008年6月時点)と大ヒットに繋がった。

『オシャレ魔女 ラブandベリー』

▲『オシャレ魔女
ラブandベリー』(2004年)

『新甲虫王者ムシキング』

▲『新甲虫王者ムシキング』
(2015年)

 ちなみに、2000年あたりといえば、インターネット黎明期である。ちょうど高速ブロードバンドが導入され始め、インターネットが急速に世に広まりつつあったころ。携帯電話の分野では、2001年にドコモがFOMAサービスをスタートし、2002年に写真付きメールサービスや、着うたサービスが開始された時代である。

 そんななか、セガは『バーチャファイター4』(2001年)のリリースと同時に、ネットワークサービスの"VF.NET"を実装。『バーチャファイター4』の戦績や段位などの各種情報や、キャラクターのカスタマイズなどが携帯電話で楽しめるようになった。"アーケードゲームと携帯端末の連動"のはしりである。なお、当時はいまほど光回線が普及しておらず、ISDNを通じてネットワークを構築していたという。

 ちなみに、家庭用ゲーム機の分野においても、セガはいち早くネットワーク接続(ネットワークゲーム)を推進している。溯れば、1990年にメガドライブ用の通信モデムとしてメガモデムを発売。ゲームダウンロードサービス『ゲーム図書館』(1990年)を通じてオリジナルゲームなどをダウンロードして遊べたのである。

セガ四人打ち麻雀MJ

▲『セガ四人打ち麻雀MJ』
ブローシャ(2003年)

 話を戻すが、のちの2003年には、『セガ四人打ち麻雀MJ』(2002年)のバージョンアップ版である『セガ四人打ち麻雀MJ ネットワーク対戦Ver.』(2003年)をリリース。本作より、インターネットを通じて全国の他店舗のプレイヤーとの対局(対戦)が可能となり、より遊びの幅が大きく広がったのである。

 さらに、『セガ四人打ち麻雀MJ ネットワーク対戦Ver.』では"VF.NET"のノウハウを活かし、新たにネットワークサービス"MJ.NET"を展開。携帯電話を通じて、対戦履歴やランキングを参照できたり、ニックネームの設定やアイテム装着などの遊びも楽しめた。

 そして2005年には、これらのネットワーク技術と、前出のトレーディングカードゲームシステムが融合し、オンライントレーディングカードアーケードゲーム、『三国志大戦』(2005年)が誕生する。アクション要素のあるゲームとして初めて、異なる店舗間でのリアルタイム対戦を実現させたのである。

 その後、『ボーダーブレイク』(2009年)では、セガが提供するネットワークサービス"ALL.Net"による接続で最大10対10の20人同時プレイが可能となった。なお、この"ALL.Net"は、先ほど話した『バーチャファイター4』(2001年)のリリース時に実装された"VF.NET"がベースとなっているという。

三国志大戦

▲『三国志大戦』(2005年)

ボーダーブレイク

▲『ボーダーブレイク』(2009年)

 現在では当たり前となったアーケードのオンラインゲームだが、振り返れば、まだかれこれ十数年まえに生まれたばかりのシステム(分野)である。昨今話題のVRなどと絡めつつ、今後どのようにアーケードゲームが進化していくのか、まさに楽しみのひとつでもある。

(文・ローリング内沢)

2002年~2009年のおもな出来事

2002年

  • 住民基本台帳ネットワークが稼働
  • 小柴昌俊氏がノーベル物理学賞を、田中耕一氏がノーベル化学賞を受賞
  • 多摩川にアゴヒゲアザラシのタマちゃんが出現

2003年

  • 郵政事業庁が日本郵政公社に公社化
  • 地上デジタルテレビ放送が東京・大阪・名古屋でスタート
  • 『千と千尋の神隠し』が第75回アカデミー賞長編アニメ映画賞を受賞

2004年

  • 新紙幣発行(1万円札が福澤諭吉、5千円札が樋口一葉、千円札が野口英世)
  • ニンテンドーDSとプレイステーション・ポータブルが発売
  • 東京国際空港第2旅客ターミナルビルが開館

2005年

  • "愛・地球博"が愛知県で開幕
  • 野口聡一宇宙飛行士がスペースシャトル"ディスカバリー"で宇宙へ
  • JR福知山線脱線事故

2006年

  • 第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開幕
  • 携帯電話のナンバーポータビリティ制度が開始
  • 神戸空港が開港

2007年

  • 第1回東京マラソン開催
  • 赤ちゃんポストの設置を認可

2008年

  • 食品偽装が相次ぎ発覚
  • iPhone 3Gが発売
  • 飯島愛さんが自宅で急死

2009年

  • バラク・オバマ氏が第44代アメリカ合衆国大統領に就任
  • マイケル・ジャクソンさんが死去
  • 裁判員制度が開始

参考資料:セガ・アーケード・ヒストリー(エンターブレイン刊)

<span>第13回</span>ゲームをポップカルチャーに押し上げたセガの功績