セガ・アーケードゲームヒストリー

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第3回プライズゲーム機の“ドン”、
『UFOキャッチャー』のはなし

2016年10月07日掲載

いまや、“ゲームセンターの顔”といっても過言ではない『UFOキャッチャー』。その多くはゲーセンの正面入り口など目を引く場所に設置され、日々、カップルや家族連れ、そしてゲームファンたちの集客を担っている。

そんな『UFOキャッチャー』だが、“セガ先輩”(敬意を表してこう呼ぶ)の登録商標だというのはご存じだろうか? 他社製品であっても、『UFOキャッチャー』の名称で呼ばれてしまうことも多いが、一般名称は“プライズゲーム機”、もしくは“クレーンゲーム機“である。

余談だが、“宅急便”はヤマト運輸の登録商法で一般名称は“宅配便”、また“バンドエイド”はジョンソン・エンド・ジョンソンの登録商標で一般名称は“救急絆創膏”、さらに“マジック(インキ)”は内田洋行の登録商法で一般名称は“フェルトペン”だ。つまり、特定の商品名が一般名称として使われるほど、“その商品”は我々の生活に深く浸透している(してきた)、という証拠なのである。

そんな『UFOキャッチャー』だが、初代機がリリースされたのは1985年5月。かれこれもう、30年以上もまえである。

当初は、プライズ(景品)を“鷲づかみ”にするというゲーム性から“イーグル・キャッチャー”という名称が検討されていたという。しかし、ハードウェア的な問題で、クレーン部を鷲のカタチにすることが厳しく、現状の“楕円体“に変更され、それがまるで空飛ぶ円盤のようだったことから『UFOキャッチャー』と名付けられた。

ちなみに当時のプライズは“ぬいぐるみ“は少なく、そのほとんどが“カプセルトイ“だった。

なお、現在は当時とは比較にならないほど、プライズの種類は豊富になり、定番のぬいぐるみはもちろん、フィギュアや生活雑貨、お菓子(食品)など多岐に渡る。

かくゆう筆者は、“花より団子“なので、お菓子が設置されている“プライズゲーム機“を好んでプレイすることが多い。こういっちゃなんだが、まあそこそこの確率でゲットできている(ドヤ顔)。“引っかけ“、“ずらし“、“ぶっ刺し“など、さまざまな攻略テクニックがあるが、話が長くなりそうなので、こちらはまたの機会にお伝えしたい。

▲『UFOキャッチャー9』筐体

で、話を戻すが、現行の『UFOキャッチャー』最新機は、9代目となる『UFOキャッチャー9』だ。初代『UFOキャッチャー』と比較してみると、ピンク色のイメージカラーはもちろんのこと、ベースとなるゲーム性は初代を踏襲しており、さほどパッと見は変わってはいない。つまり、いかにゲームとして初代機の完成度が高かったかが伺える。

とはいえ、細かい仕様やデザインのバージョンアップは代々行われており、たとえば4代目となる『NEW UFOキャッチャー』では、初代機よりプライズのディスプレイ位置を低めに設計し、小さな子どもでも遊びやすいように昇華させている。また、7代目となる『UFOキャッチャー7』では、3つ目のボタンが追加で登場。高さも自分の好きなところで止められるようになった。さらに、『UFOキャッチャー8』では、UFOメカの高さを上げて、平面だけでなく空間を利用したプライズのレイアウトに対応できるようになっている。

そして、最新型の『UFOキャッチャー9』に至っては、フロント部分の柱を取っ払い、背景パネルを透明にしたことで、360度どの角度からでもプライズを見ることができるようになっている。また、タッチパネル液晶を初搭載し、両替時に自分の台をキープ出来る機能も追加された。

▲『NEW UFO キャッチャー』
筐体(1985年)

▲『UFOキャッチャー7』筐体

▲『UFOキャッチャー8』筐体

以上が、“わかりやすい変更点”だが、もっと細かいところでは、プライズがより魅力的に見えるようにと、ガラスの素材や照明の種類・位置を変えたり、ミリ単位でコントロールパネルやプライズ景品取り出し口の位置や大きさを調整したり、はたまたゲームセンターの店員が使いやすいようにオペレーション機能を改善したりなど、代々進化を遂げているのだ。

▲『UFOキャッチャーDX』筐体

長い進化の過程には、紆余曲折もあった。『UFOキャッチャーDX』では、「より親しみをもっていただくために人っぽく擬人化してみよう!」ということでUFOメカを顔のような雰囲気に造り上げた。やるならとことんやるのが我らがセガ先輩、プレイせずに放っておくとイビキをかく音が流れる仕様まで搭載。そのせいで早朝の静かな街に『DX』のイビキが響き渡り…。開発チームにはゲームセンター運営者から不評の声が届いたそうだ。

時にはこのような失敗もまじえつつ試行錯誤を続け、コツコツと約30年もかけてバージョンアップしていった結果もあって、現在『UFOキャッチャー』シリーズはプライズゲーム機販売累計数ナンバーワンを誇っている。

“セガ先輩”といえば、ビデオゲームや家庭用ゲームの印象が強いかもしれないが、このようにプライズゲームにおいても第一線を突っ走っているのである。

ローリング内沢

1970年、東京生まれ。ライター、編集者、ゲーム批評家。
ゲーム情報誌の編集者を経て、2000年4月よりフリーランスとして活動。
得意分野はゲーム、クラブミュージック、グラフィックデザインなど。
趣味が高じて、クラブDJとしても暗躍中。
イラスト:荒井清和

参考資料:セガ・アーケード・ヒストリー(エンターブレイン刊)

<span>第13回</span>ゲームをポップカルチャーに押し上げたセガの功績