セガ・アーケードゲームヒストリー

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第10回ゲーセンで”美”と”癒し”を提供する変わり種マシンの数々!

2017年07月06日掲載

“セガ先輩”(敬意を表してこう呼ぶ)が2015年にリリースした『ネイルプリ』は、オシャレ&ビューティーの常識を変えた世界初のネイルシールプリント機だ。

ネイルプリ

▲『ネイルプリ』(2015年)

ネイルプリ
ネイルプリ

残念ながら、2017年3月末をもって運営サービスが終了してしまったが、あらかじめ用意された1500種類以上の柄を組み合わせて、自分だけのネイルシールを作ることができ、更に専用のスマホアプリを使えば撮った写真を”デザイン”として取り込めるのがウリのひとつだった。

わざわざネイルサロンに行かなくとも、自分で作ったお気に入りのデザインを貼るだけで、手軽に、そして安価にネイルアートが楽しめ、女性を中心に人気を博したのである。

ネイルプリ

▲ネイルアートの数々

ネイルプリ
ネイルプリ

あいにく、ボクはネイルアートを施す趣味はないのだけど、美容の一環としてネイルアートを楽しむ人の気持ちは十分に理解できる。

自分好みの“キレイなもの”や“カワイイもの”が、日々、視界に入るのはとても嬉しい気分にさせてくれるだろうし、決して周りの人に褒められたいからではなく、自身の日々の生活を楽しくする行為のひとつが、ネイルアートなんだと思う。

なお、セガはそんな日々の生活を楽しくする作品を、『ネイルプリ』以外にも、過去にいくつかリリースしている。横文字でカッコ良く言うなれば、“ライフエンターテイメントマシン”といったところか。

そこで、今回は、一般的なアーケードゲームとは一線を画する、セガだからこそ生まれた変わり種のライフエンターテイメントマシンを紹介したい。みなさん、体験したことのある作品はあるだろうか?

◆     ◆     ◆

まずはこちら! その名も『足プリ!』(2004年)。

足プリ!

▲『足プリ!』(2004年)

足プリ!
足プリ!

いわゆるオーソドックスなフットリラクゼーションマシンなのだが、終了後にオマケとして、“足ウラの反射区についての説明”、“健康クイズ”、“おみくじ”が記載された用紙がプリントアウトされるというシロモノ。

そんなオマケを用意して、ちょっとしたリフレッシュ時間を楽しませてくれるアクセント(遊び心)が、いかにもセガらしい商品だ。

そして、ほぼ同時期にリリースされた『リフレッシェル』(2003年)も忘れちゃならない。こちらは、リクライニング可能なチェアの動きと、サウンドストーリーをシンクロさせたハイテクなリラクゼーションマシン。なんと、ジョイポリスのアトラクション等で培った立体音響技術が使用されているという。

リフレッシェル

▲『リフレッシェル』(2003年)

リフレッシェル

サウンドストーリーには、「ゴールデン・ハイテクコース」、「究極の癒し 幻の温泉コース」、「ビーチリゾート・ヒーリングコース」の3種類が用意されており、温泉をはじめ世界の有名リゾートを訪れている気分などを味わいながらリラクゼーションが体感できる。

選択コースによっては、温泉宿の女将に「いらっしゃいませ!」なんてサウンド(声)でお出迎えされつつ、お湯の流れる音を聴きながら、肩を揉まれたり腰をぎゅーっと押されたりと、いわゆる“バーチャル”な“癒し”を受けられるわけだ。

ちなみに『足プリ!』『リフレッシェル』も、それぞれ異なる健康機器メーカーとタッグを組んで開発されており、ともに本格的なリラクゼーションが受けられる。

なお、当時のゲームセンターには既に、占いゲーム機やプリントシール機など、ガチのゲーマー以外でも楽しめるコーナーは多々あったが、「ゲーセンで“美”や“癒し”が叶えられる」という発想はかなり突飛だった。

聞いた話によると、当時、セガの一部のゲームセンター内に、『足プリ!』『リフレッシェル』、そしてアロマテラピー酸素バーを設置した、“リラクゼーションルーム”を展開していた時期もあったという。

とはいえ、癒しに特化した空間を作ったものの、時代を先取りし過ぎたのか、まもなく“リラクゼーションルーム”は縮小してしまったという流れも。そんな斬新な展開も含めて、チャレンジャーな“セガ先輩”らしいではないか!

◆     ◆     ◆

『ネイルプリ』『足プリ!』『リフレッシェル』……どの作品も日々の生活にゲーム的な楽しさ(や技術)を盛り込んだマシンだ。

誤解を恐れずに言えば、“ゲーム”は人が生きる上で必ずしも必要ではない。しかし、“ゲーム”を単なる娯楽のひとつではなく、生活の一部と組み合わせることで、そこに新しい価値が生まれる。

正直まだまだ、趣味としての“ゲーム”は、ほかの娯楽よりも優先順位を低く見られがちな部分もゲーマー以外からはあるけれど、このような“ライフエンターテイメント”作品が今後さらに出てくることで、その立ち位置は広く少しずつ変わってくるのかなあ、なんてことも思った。

ともあれ、“セガ先輩”にはこれからも、「え! こんなものまで?」とボクらを驚かす、(大体いつも10年早い!?)一風変わったエンターテイメント作品を生みだし続けて欲しいでっす。

ローリング内沢

1970年、東京生まれ。ライター、編集者、ゲーム批評家。
ゲーム情報誌の編集者を経て、2000年4月よりフリーランスとして活動。
得意分野はゲーム、クラブミュージック、グラフィックデザインなど。
趣味が高じて、クラブDJとしても暗躍中。
イラスト:荒井清和

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参考資料:セガ・アーケード・ヒストリー(エンターブレイン刊)

<span>第13回</span>ゲームをポップカルチャーに押し上げたセガの功績