セガ・アーケードゲームヒストリー

2018.06.06 さらにコラム追加!

第11回”職ゲー”ブーム、再び到来の予感?

2017年07月21日掲載

冒頭から他社の話で恐縮なんですが……先日、稼働20周年を記念して、『電車でGO!』(1996年/タイトー)が最新アーケードゲームとして復活したんですよ。ちなみに本作は、いわゆる"職ゲー"(職業体験ゲーム)ブームの先駆けとなった作品。

"職ゲー"というジャンルが流行ったのは、ちょうど1990年代後半ごろ。その火付け役は『電車でGO!』だと言われていますが、我らが"セガ先輩"(敬意を表してこう呼ぶ)も当時、"セガ職業ゲームシリーズ"と題し、さまざまな"職ゲー"を立て続けにリリースしているんですよね。

その第1弾となるのが、旅客機のパイロットを疑似体験できるフライトシミュレーション『エアラインパイロッツ』(1999年)。開発には日本航空が協力しており、ゲーム内には当時の最新鋭機であるボーイング777-200も登場する。

エアラインパイロッツ

▲『エアラインパイロッツ』(1999年)

さらに、いまでも人気の高い『クレイジータクシー』(1999年)も"セガ職業ゲームシリーズ"のひとつ。プレイヤーはタクシードライバーとなり、制限時間内に客を目的地へ届けることが目的のドライビングゲームだ。

クレイジータクシー

▲『クレイジータクシー』(1999年)

クレイジータクシー

▲『クレイジータクシー』(1999年)

また、救急搬送を題材としたレースゲーム『救急車 EMERGENCY CALL AMBULANCE』(1999年)や、消火活動を題材としたシューティングアクション『消防士 BRAVE FIRE FIGHTERS』(1999年)もそれぞれ、"セガ職業ゲームシリーズ"としてリリースされている。

救急車 EMERGENCY CALL AMBULANCE

▲『救急車 EMERGENCY CALL AMBULANCE』(1999年)

消防士 BRAVE FIRE FIGHTERS

▲『消防士 BRAVE FIRE FIGHTERS』(1999年)

◆     ◆     ◆

"セガ職業ゲームシリーズ"と銘打ってリリースされた作品は以上の4タイトルだが、その後も、東京都交通局の全面協力のもとで開発された都営バス運転シミュレーション『東京バス案内』(2000年)も発売されている。

東京バス案内

▲『東京バス案内』(2000年)

広い意味で捉えれば、2000年に発売された『CRACKIN'DJ』も、本物のDJの操作感をシュミレートしているという点で"職ゲー"と言えるかもしれない。

スポーツゲームやレーシングゲームも"職ゲー"だとしてむりやりこじつけるのであれば、セガのビデオゲーム第1弾の『ポントロン』(1973年)は卓球選手、また『モナコGP』(1979年)はカーレーサー、『アッポー』(1984年)はプロレスラー、そして『サムライ』(1980年)は侍、『忍 SHINOBI』(1987年)は忍者の"職ゲー"と言えなくもない……、いや、ちょっと言い過ぎか(笑)!

ともあれ、個人的には、"職ゲー"というジャンルには、まだまだ可能性があると感じている。昨今話題のVR(仮想現実)やAR(拡張現実)、MR(複合現実)などといった最新テクノロジーと組み合わせることで、きっとそこに新たな"体験"や"遊び"が生まれるはずだ。

昨年、Oculus Rift用や、PlayStation VR用としてOwlchemy Labs社よりリリースされ話題になった、『Job Simulator』が良い例だ。

『Job Simulator』は、オフィスワーカーやコンビニの店員、はたまたファミレスのシェフや自動車整備工となって、身の周りにあるものを積み上げたり、移動させたり、ボタンを押したり、機械を操作したりしながら、それぞれの仕事を体験していく、VRの職業シミュレーションゲーム。

ボクが思う本作の本当の楽しさは、"まじめに職業を体験"するのではなく、オフィスの備品を投げて壊したり、客が注文した料理を食べたり、など、現実世界ならば怒られるような"悪ふざけ"が好き放題できること。そこに一切のペナルティーはなく、"まじめに仕事をしなくてもいい"のだ……これも"職ゲー"のひとつの方向性だと思う。

◆     ◆     ◆

なお、ここ最近は、"ブロガー"や"ゲーム実況者"、"プロゲーマー"、"ドローンカメラマン"などといった新しい職業が生まれており、そのような新職業を題材としたゲームがリリースされる日もそう遠くはないと感じている。

さらに、世の中には、ドックフードを試食して評価をする"ドッグフードテイスター"や、臭いに関係する商品テスターなどを務める"臭気判定士"、はたまたサイコロの目の入れ方や回転をチェックする"サイコロ検査士"など、珍しい職業も多く存在する(ちなみに"臭気判定士"はれっきとした国家資格)。

昨今は、触覚フィードバックはもとより、味覚や嗅覚を使ったVRの研究も進んでいるというから、最新のテクノロジーを駆使しつつ、アイデア次第では、面白いゲーム("職ゲー")が考えられそうだ。

ここはぜひ、時代を先取りしすぎて、「大体いつも10年早い"セガ先輩"」に、新しい"職ゲー"の開発にチャレンジしてもらいたいものである。

ローリング内沢

1970年、東京生まれ。ライター、編集者、ゲーム批評家。
ゲーム情報誌の編集者を経て、2000年4月よりフリーランスとして活動。
得意分野はゲーム、クラブミュージック、グラフィックデザインなど。
趣味が高じて、クラブDJとしても暗躍中。
イラスト:荒井清和

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参考資料:セガ・アーケード・ヒストリー(エンターブレイン刊)

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