セガ・アーケードゲームヒストリー

2018.10.23 コラム追加!

第25回『ボーダーブレイク』1/1プラモデル制作秘話【後編】

2018年10月23日掲載

2018年7月2日~8日まで、東京メトロ丸ノ内線新宿駅メトロプロムナードに掲出された、『ボーダーブレイク』の実物大ロボット(輝星・空式)のプラモデル(のパーツ)。

これは、PlayStation®4版『ボーダーブレイク』のリリース(8月2日発売)に合わせて行われた宣伝展開のひとつなのだが、今回は、このセガらしいユニーク試みがどういう経緯で生まれたのか、その制作秘話を聞く企画の"後編"となります。

(【前編】はこちら!)

▲新宿駅に掲出された『ボーダーブレイク』1/1プラモデル(組み立てまえ)。端から端までおよそ10メートルほど。とにかくでかい!

話を伺ったのは前編に引き続き、『ボーダーブレイク』の宣伝担当を務める、『ボダ』ファンのあいだでは"ニュルマン"のニックネームで知られる西村ケンサク氏だ。

▲いちばん左が"ニュルマン"こと西村ケンサク氏。

◆     ◆     ◆

新宿駅に掲出されたプラモデルのパーツは切り取られたあとに組み立てられ、8月1日に秋葉原で行われた、PlayStation®4版『ボーダーブレイク』完成披露会で、その全貌を現したのだが、実際はどのようにして組み立てられたのだろう?

西村:

「新宿駅に掲出したプラモデルのパーツは、あくまでも完成品(全パーツ)の一部なんですよ。他の部品は別のところにありまして、新宿駅のパーツもきちんと組み合わせつつ、実物大のロボットが作られています」

なお、先日開催された"東京ゲームショウ2018"、"全日本模型ホビーショー2018"、"マチ★アソビvol.21"では組み立てられた、全長約5メートルの実物大ロボット(輝星・空式)が展示されたので、実際にその大きさを体感した人も多いはず。

▲組み立てられた実物大プラモデル。写真はPlayStation®4版『ボーダーブレイク』完成披露会でお披露目されたときのもの。

西村:

「今回の宣伝のテーマのひとつとして、ランナーからひとつずつパーツを切り離して、それを組み立てて実物大のロボットを作る、というストーリー性を持たせています。ですから、「パーツの切り取り作業もお客さまに見せたほうが面白いよね」ということで、掲出期間中に事前告知をしつつ、3回に分けてパーツの切り取りイベントを行いました」

あいにく、ボクはパーツの切り取りイベントには立ち会えなかったのだが、聞いた話によると、巨大なニッパー(というかワイヤーカッター)を使ってランナーからパーツを切り取るときの音は、「バゴンッ!」と駅構内に響き渡るくらいの轟音だったらしい(笑)(地下だし)!

▲パーツ切り取りのイベントの様子。

そのようなパーツ切り取りのイベント演出も含め、エンターテイメント企業としてのセガらしさを感じたのである。

西村:

「切り取りイベントのたびにパーツが減っていくんですよ。掲出最終日の7月8日(日)には、ひとつも残っていないのですが、「日曜日まで展示しているから見に行かなきゃ」って行った人が、「もう何もなかった(笑)」って悔しそうなツイートをしているのを見て、そういうのも含めていいストーリーが組めたなと思いましたね(笑)」

ちなみにパーツを切り取ったあとの壁には、アーケード版『ボーダーブレイク』ファンから募集した、数々の熱いメッセージが記されており、パーツがなくなるたびにそのメッセージが読めるようになる、という粋な演出も施されていた。

▲『ボーダーブレイク』ファンの熱い思いが記されたメッセージボード。

西村:

「今回の実物大プラモデルプロジェクトは、話題性を広げ、新規のお客さまを増やすための施策ではありましたが、宣伝の方向性としてもうひとつやりたかったことがありまして、それがアーケード版の『ボーダーブレイク』を楽しんでくださっている既存のユーザーさんの生の声をそのまま伝えたかったんです。そのほうがゲームの魅力を伝えるには、実際に楽しんで下さっている方の声を伝えるのが一番だと思ったので」

なるほど。なお、西村氏いわく、この実物大プラモデルプロジェクトは構想から実現まで、1年以上もかかっているという。その間、泣く泣くボツになったアイデアなどもあったと思うのだが?

西村:

「じつは、そんなにないんですよね(笑)。けっこう早めに企画の柱が決まりましたので、それをいかに面白く効果的に魅せるかだけだったんです。ですから、ボツ案らしいボツ案はないんですよ。」

この手のチャレンジングな企画は、具現化するまで数々のハードルが立ちふさがるものだが、数々のベストな歯車が上手に噛み合い大きなトラブルもなく、比較的順調に企画が進んでいったそう。それでも、宣伝担当者としては本当に大変だったという。

西村:

「本当に大変ではありましたが、おかげさまでサービス開始から1週間で目標を上回る30万人の方に購入、ダウンロードしていただけましたし、PS Store内の「PS4®タイトルランキング」で1位も獲得できました。そういう面では、今回の宣伝展開は成功したのかな、とは思います」

そして、インタビューの最後に西村氏は、「「セガって面白いことするな」とみなさんに思ってもらうために必死に企画を考えましたからね」とコメント。まさに、このひと言が、"セガ先輩"(敬意を表してこう呼ぶ)の"もの作り精神"を表しているな、と感じたのである。

最後に余談だが、ニコニコが主催するゲームイベント"闘会議2016"のセガブースでは"巨大ロボピッチャ"が登場し、また今年3月に行われた"セガフェス2018"では、"巨大メガドライブコントローラー"や、"巨大『UFOキャッチャー』"で遊ぶことができた。そして、今回"巨大な『ボーダーブレイク』プラモデル"とくれば……次はどんな"巨大"シリーズが現れるのか、セガさん楽しみにしていますよ(笑)!

ローリング内沢

1970年、東京生まれ。ライター、編集者、ゲーム批評家。
ゲーム情報誌の編集者を経て、2000年4月よりフリーランスとして活動。
得意分野はゲーム、クラブミュージック、グラフィックデザインなど。
趣味が高じて、クラブDJとしても暗躍中。
イラスト:荒井清和

参考資料:セガ・アーケード・ヒストリー(エンターブレイン刊)

<span>第25回</span>『ボーダーブレイク』1/1プラモデル制作秘話【後編】