Creator’s Interview

『maimai』筐体デザインの
最初のコンセプトは、
“洗濯機”ではなく“試聴機”でした

-ユーザーに注目してもらうために、プロダクトデザインで心掛けていることは?

「すごく派手な色やカタチにしよう」、「バキバキのライティング(照明)で目立たせよう」という考えもあると思うのですが、じつは派手にしたからと言って、けっして目立つわけではないんですよ。

派手なもののなかに派手なものがあってもまったく目立ちません。かえって、地味なものの方が目立つことがある。つまり、アイキャッチというのは差分で生まれることが多いんです。

-単に派手なだけではない、目立たせ方を考えるのですね?

ええ。それに、もし派手ということでユーザーの目にとまったとしても、そのゲームのターゲット、その遊びを好きになるであろうユーザーが好むデザインでないと意味がない、ということにも留意します。

多くの人に興味を持ってもらうことはもちろん大切ですが、ターゲット層と違う人に遊んでもらった結果、「好きじゃないな」と思われてしまうのは意図と反します。

ですから、特定のユーザーに向けた企画であればあるほど、デザインの表現もすごく慎重にならないといけないんです。ターゲットのユーザーが魅力的に感じ、かつ目にとまるようなデザイン、というのが大事なんですよね。

逆に、ゲームを遊んでもらえさえすれば絶対に気に入ってもらえるのに、筐体の見た目で「自分には向いていないな」と思われてしまうこともあります。そういう意味で、アーケードゲームにおけるプロダクトデザインは「ユーザーの最初のトリガーになっている」と責任をいつも意識しています。

-それはアーケードゲームならでは、ですね

そうかもしれません。 ちなみに私が担当した音楽ゲーム『maimai』のデザインは、ゲームセンターにふらっと来た人や、女性にも遊んでほしい、という狙いもあり、あのようなデザインにしました。

従来の"音楽ゲーム"って、ライティングがバキバキに光っていて、ガジェットっぽいといいますか、昔のオーディオ機器的で、難しそうなイメージがありませんでしたか?

それらと差別化をはかり、あまりゲームに馴染みがないユーザーや女性にも怖がらずに触ってもらえるようなデザインを目指したんです。具体的に言うと、照明の光りかたも有機的にして、点や線で光らせるのではなく、立体(筐体)そのものを発光させ、そこで"目立つ"というポイントを担保しました。また、大きい形が安心感を生む、といった心理的なことも考えました。

-そんな『maimai』ですが、実際、女性のプレイヤーも多いですよね

女性が遊んでいないのは難しそうに見えているからではないか、という仮説を立て、どんなデザインなら触れ慣れていて扱いやすい印象を持ってもらえるかと強く意識したので、実際ゲームセンターで女性が『maimai』を楽しそうに遊んでくださっている姿を見ると感無量です。ゲームセンターのなかでも個性的な見た目になりましたし、意図したとおりのユーザー層に受け入れられているのは、本当に嬉しい限りです。

-『maimai』の筐体はそのデザインから"洗濯機"とも呼ばれ、多くのユーザーに親しまれていますが、"洗濯機"というキーワードは開発中からあったのでしょうか?

ありました。
最初のコンセプトは実は“試聴機”でしたが、チームメンバーに「洗濯機っぽい」と言われて。それなら開き直って、"かっこいい洗濯機をつくろう!"と思って開発していました。『maimai』をロケーションテストで発表した際にはこっそりテスト筐体に「NO WASHING」(洗えません)と印刷で入れていたんですよ(笑)。
ですので、ユーザーから「セガが洗濯機を出したぞ!」という声が聞こえてきた時は、チームとしてもその評価をすんなり受け入れられました(笑)。
また、洗濯機っぽさから親しみをもっていただいたり、家電メーカーさんとコラボできたり。デザインを通したご縁に恵まれ、ありがたいです。

編集・執筆:ローリング内沢、村田征二朗

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